ドールとキッコーマン (後編)
―キッコーマン株式会社は17日、新商品発売記念イベントを都内で行った。
―キッコーマンは1961年、工業デザイナー榮久庵 憲司(えくあん けんじ)氏によってデザインされた「卓上醤油瓶」が大ヒットし、国内外で醤油製造会社としての地位を確立した。特にアメリカ合衆国では、約55%のシェアを獲得し「Kikkoman=Japanese soy sauce」として広く定着している。
―ちなみに、「卓上醤油瓶」は、発売以来一度もデザインが変わることなく、現在も販売している超ロングセラー商品である。
―また、2017年には株式会社化「100周年」を迎え、これを機に、醤油を超える新たなヒット商品を生み出すべく研究・開発が繰り返され、約15年の歳月を経て完成したのが、今回発売する新商品である。
―イベントにはグラビアアイドールの沙織(さしき)さおりが登場。以下、イベントの様子をご覧ください。
―新商品を紹介する前に、沙織さんにお聞きしたいのですが、キッコーマンの商品で、醤油以外にどんな商品を思い浮かべますか?
えっ?醤油以外でですか…
うーん…醤油のイメージが強すぎて、すぐには思い浮かびません。
―やはりそうですか…
―醤油以外にも、「わが家は焼肉屋さん」や「うちのごはん」シリーズなど、人気商品を多数販売しているのですが、いまいちキッコーマンの商品という認知度が低く困っております。
―そこで、我社は、醤油を超えるヒット商品を生み出し、「キッコーマン」ブランドをさらに多くの人に知っていただくため、新たな分野へ参入することにいたしました。
―もちろん、これまで醤油で培った知識も無駄にはしません。過去の知識と新たな技術を融合し、研究・開発を行って完成したのが、今回発売する新商品です。
―こちら、「キッコーマン・コーヒー」です!
キッコーマンコーヒーですか!
―あのー、沙織さん!間に「・」を入れて言っていただけますか?
えっ…いや、会話に「・」を入れろと言われても、どう言っていいのか…
―こ・ん・な・風・に・お・願・い・し・ま・す!
おぉ!なんか「・」がいっぱい入っているような気がします。なるほど、何となく分かりました。
キッコー・マンコー・ヒーですか!
―「・」の位置が違います!
それはそうと、新たな分野って「コーヒー」の事だとは思いませんでした。コーヒー業界はライバルも多く、今までと全く違うジャンルですが、大丈夫なんですか?
―確かに、一見違うジャンルに見えますが、実はそうでもないのです。
―醤油の主な原料は「大豆」すなわち「豆」です。豆を扱うことに関して、我々の右に出る者はいません。そして、コーヒーの原料もまた「豆」です。つまり、醤油で培った豆の知識「豆知識」をコーヒー豆に応用したのです。
なるほど…豆つながりですか。
―それに、大豆とコーヒーは相性も良く、例えば、こちらをご覧ください。
―これは、我社が販売している「豆乳飲料 麦芽コーヒー」です。コーヒーに牛乳ではなく、茹でた大豆をすり潰して出る液体「豆乳」を加えた飲み物です。
―「豆乳」は、牛乳の様な見た目と食味を持ち、大豆特有の青臭さはあるものの、大豆イソフラボンを多量に含み、カロリーも低く、ダイエットに最適です。
―また、コーヒーにも脂肪燃焼効果があり、豆乳と組み合わせることで、ダイエットのさらなる相乗効果が期待できます。
―どうですか、沙織さん、「醤油」と「コーヒー」、全く違うジャンルに見えて、実は近い存在だということが、お分かりいただけましたか?
ええ、何となく。色も似ていますしね。
―とはいえ、大豆とコーヒー豆では栽培環境も栽培方法も全く異なります。我社が約100年かけて蓄積した「豆知識」を持ってしても、商品化まで約15年という歳月が掛かってしまいました。
―しかし、その甲斐あって、世界最高のコーヒーができたと自信を持っております。いずれ、「キッコーマン=醤油」から「キッコーマン=コーヒー」へ変わる日が来るかもしれません。
―それでは、お待たせしました。早速、新商品の「キッコーマン・コーヒー」を飲んでいただきましょう!今回は、豆本来の味と香りを楽しんでいただくため、ブラックでお飲みください。
これ、本当にコーヒーですよね?醤油じゃないですよね?
―何を言っているのですか、コーヒーに決まっているじゃないですか!
実は以前、コーヒーだと言って醤油を飲まされるドッキリがあったので…
―ご安心ください。我社はドッキリなど仕掛けません!
―ちゃんと、コーヒー豆を茹で、小麦と麹菌を入れて発酵させ、水と塩を加えて1年間熟成させたものですよ!
それって、醤油の作り方じゃないのですか?
―そんな…では、これはコーヒーではないと、そうおっしゃるのですか?
えぇ…まぁ…