ドールとトヨタ (後編)
―トヨタ自動車株式会社は19日、新しい生産方式「TNGA」を使って開発された、新型「プリウス」の発表イベントを都内で行った。
―TNGA(Toyota New Global Architecture)は、複数の車種を同時に開発すると共に、それらに搭載するユニットや配置、使用する部品などを共用化し、20~30%の開発効率向上を目指す、新しい生産方式である。
―新型「プリウス」は「TNGA」導入後、第一弾となる車種である。詳しくはトヨタのホームページをご覧ください。
―イベントには 初代「こども店長」加藤清史郎くんの実の弟であり、2代目「こども店長」に就任した、加藤憲史郎くんが…
―って、あれ?なぜ、沙織(さしき)さおりさんがここに?本日のゲストは加藤憲史郎くんのはずですが…
彼はもう「こども店長」ではなくなりました。ですから、ここには来ません。
―どういうことですか?
このお腹を見てください。現在、妊娠3カ月です。
―えっ!?誰の子ですか?まさか…
彼は「こども」から「おとな(父)」へと成長したのです。ですから、もう「こども」店長ではありません。
そして、このお腹の子こそが、3代目「こども店長」になります。私は、この子が生まれるまでの店長代理です。
―そうですか、では、今回のゲストは3代目「こども店長」と「こども店長代理」の沙織さんということにしておきます。
―では、店長代理の沙織さん、今回発売する新型「プリウス」には、トヨタの新しい生産方式「TNGA」が使われていますが、ご存知でしたか?
テンガですね、もちろん知っていますよ。
―いえ、「テンガ」ではなく「TNGA」です。
ですから、テンガですよね。
―沙織さん、疑っているわけではありませんが、一応確認の為、「TNGA」について簡単に説明していただけますか?
分かりました。
トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャーの略で、トヨタがこれまでの生産方式をゼロから見直した結果、新たに導入した生産方式で、複数の車種のユニットやパーツを共用化することで、開発効率の向上を目指す、いわば、クルマづくりの設計思想の大改革とでも言いましょうか…
―沙織さん、もう結構です!
―疑って申し訳ありませんでした。てっきりアダルトグッズの「TENGA」のことを言っているのかと思いました。
失礼な!
私が常に「TENGA」のことを考えているような、下品なドールに見えますか?
―いいえ、見えません。
だいたい、「TNGA」と「TENGA」が似ているからって、そんなベタ展開になると思っているのですか!
―いいえ、本当に申し訳ありませんでした。
大声を出したら、お腹が…う、産まれる!
―ええーっ!?さっき妊娠3カ月って言っていましたよね。とにかく、救急車を…
ダメです、間に合いません!ここで産みます!
―えーっ!で、では、私に何かお手伝いできることはありますか?
とりあえず、タオルを用意してください。
―分かりました。タオルですね。
よしよし、さすがは3代目「こども店長」です。赤いジャケットを着て生まれてきました。
―えーっ!?服を着て生まれてきたのですか?…まぁ、ドールですから、そういうこともあるのでしょう。