ドールとAKB48 (後編)
―AKB48は25日、第106回選抜総選挙を行うと発表し都内で会見を開いた。
―会見には、いち早く総選挙に出馬を表明した沙織(さしき)さおりが登場。以下、会見の様子をご覧ください。
―沙織さん、今回の総選挙から、供託金を納めなければ選挙に出馬できなくなりましたが、供託金はもう納めましたか?
もちろんです。今朝、選挙管理委員会に300億円納めてきました。
―さすがですね。なにせ、今やAKB48は姉妹グループを合わせると約100万人はいますから、出馬の乱立を防ぐためのやむを得ない処置なのです。
―ちなみに、有効投票数の1000分の1を得られない場合、供託金は全て没収されますので注意してください。
大丈夫です!
こう見えて前回の総選挙では300位以内に入っているのですよ!
―そうでしたか。
今回は、国政に関与できる48位以内が目標です。
―頑張ってください。
―ところで、さっきから気になっているのですが、随分と変わった衣装を着ていますね。
これですか?この衣装は今から約100年前、AKB48が結成した頃の衣装なんですよ。
実は私の先祖は元AKB48のメンバーで、この衣装は先祖代々受け継がれてきた物なのです。この会見の為に特別に着させていただきました。
―懐かしいといえば、こんな話を知っていますか?昔の選抜総選挙はCDという音楽の入った円盤を購入した人だけが選挙に投票することができたそうなのですよ。
―しかも、CDを購入した数と同じだけ投票することが可能だったらしいです。
えー!本当ですか!?完全に公職選挙法に違反しているじゃないですか!
―まあ、100年も前の話ですから。でも、さすがに国民もおかしいと気づき、第8回選抜総選挙からは一人一票になったみたいです。
―それでは、最後に、今回の総選挙のマニフェストをお聞かせください。
はい、分かりました。
わたくし、沙織さおりが総選挙で48位以内に入った暁には、かつての安倍政権以来、約100年続く超インフレを脱却し、デフレへと向かっていきたいと思います。
さらに、年金支給開始年齢を現在の95歳から100歳へと引き上げ、1000年安心できる社会を目指したいと思います。
―なお、選抜総選挙の投票は国民の義務であり、投票を行わなかった者は、1年以下の懲役、又は1億円以下の罰金が科せられる。