ドールとうどん県 (後編)
―うどん県は12日、現在副知事の要潤が任期満了で退任することを受け、グラビアアイドールの沙織(さしき)さおりを新副知事に就任すると発表し、香川県庁で会見を開いた。
―会見には新副知事に就任した沙織さおりが、うどん職人姿で登場し、新プロジェクトを発表した。以下、新プロジェクト発表の様子をご覧ください。
みなさん、本日はうどん県にお越しいただき誠にありがとうございます。新副知事に就任した沙織さおりです。
これは、普通のうどんではございません。なんと、一杯1万円もするうどんなのです。
どなたか食べてみたい方はいらっしゃいますか?…では、そちらの記者の方どうぞ。
どうですか?1万円のうどんの味は?
…え?普通のうどんと違いが分からないですって?
はぁ、これだから庶民は…おっと、失礼。それでは、このうどんについて説明しましょう。
実は、このうどんを作るために使用した水はすべて「川越シェフのお店の水」を使っているのです。もし、普通の水道水を使った場合、このうどんは一杯200円です。しかし、川越シェフの水を使うことによって一杯1万円に進化するのです。
私が副知事に就任したからには、うどん県…いや、香川県の全てのうどんに使用している水を「川越シェフのお店の水」に変えます。
もう、ここ香川県では、うどんは庶民の食べ物ではなくなるのです。さらに、水不足に悩む必要もないのです。我々には川越シェフがついているのだから!
そう、これこそが私が提案する新プロジェクト「香川越シェフうどん化計画」です。
このプロジェクトにより、うどんは、年収300万~400万の人達が気軽に食べられない高級料理へと進化するのです。
フハハハハ…
―翌日、うどん県民のリコール請求により、沙織さおりは副知事を解任された。