ドールとタミヤ「イグレス」 (組立編2)


それでは、ここから本格的に組み立てていきます。


まず、最初は「A」の袋を使います。


中には、グリスや工具、スポンジなどが入っています。


グリスは3種類あります。この中で、ボールデフグリスは初めて使います。


では、組み立て開始です。まず、スポンジを25㎜程度にカットします。


そして、パッケージングされたパーツの中のギヤボックスプレートを取り出し…


この位置に貼り付けます。


これをパーツに取り付けます。これはギヤボックスです。


ここで、別途購入した「ブラシレスモーター(10.5T)」の登場です。「ブラシレスモーター」は、「ブラシモーター」に比べパワーがあり、メンテナンスの必要もなく、高速回転しても動作が安定している、次世代のモーターです。


開封しました。ケーブルが3本あるのがブラシレスモーターの特徴です。そのため、専用のスピードコントローラーが必要になります。さらに、フルベアリング化が必須ですが、イグレスは最初からフルベアリング化されているので問題ありません。


で、ブラシレスモーターにピニオンギヤを取り付ける際は、ラジコンとモーターの「ギヤ比」を確認しておく必要があります。


ちなみに、ここでの「ギヤ比」とは、タイヤが1回転するのにモーターが何回転するかを表したもので、タミヤのHPなどで確認できます。


HPのイグレスのページによると、キット付属のピニオンギヤ(22T)を使用した場合、ギヤ比は「8.25:1」になると書いてあります。つまり、タイヤが1回転するのにモーターが8.25回転するという意味です。


次は、モーターのギヤ比を確認します。モーターには使用に適した推奨のギヤ比があります。


マニュアルによると、10.5Tのバギーでは「8.9~11.7:1」の範囲での使用が推奨されています。さらに、その下の注記では、4WDの場合「10:1」を目安に調整してくださいとあります。


ラジコンとモーターのギヤ比が合っていません。


推奨範囲8.9~11.7に対し、ギヤ比8.25と僅かなズレなので大丈夫だとは思いますが、今回は初めてのブラシレスモーターなので、キッチリ推奨範囲に入るように、ギヤ比を調節(大きく)したいと思います。


で、ギヤ比を大きくする方法ですが、タミヤのHPによると、①ピニオンギヤを小さくする。②スパーギヤを大きくする。③タイヤ直径を小さくする。という方法があると書いてあります。


①~③で一般的に行われるのは、①のピニオンギヤを小さくする方法です。これが最も簡単で安上がりです。付属のピニオンギヤは22Tなので21T以下にします。


ちなみに、「ピニオンギヤ」はモーターに取り付けるギヤで、「スパーギヤ」はピニオンギヤと直に噛み合うギヤのことです。


さらに、「T」という英語が出てきていますが、モーターの「T」が「ターン数(turn)」なのに対し、ギヤの「T」は「歯数(teeth)」を意味しています。22Tは22歯であり、ピニオンギヤを小さくするとは、歯数を減らすという意味です。私は歯が6本しかないので6Tです。


では、実際、どれくらい歯数を減らしたらよいのでしょうか?


さあ、ここから数学のお勉強の時間です!


まず、一般的に「ギヤ比」とは、2つの歯車(ギヤ)の歯数の比率を表し、別名「減速比」とも言います。RCカーの「ギヤ比」は、タイヤが1回転するのにモーターが何回転するか、すなわち、モーターがタイヤを回転させるまでに使用しているギヤの比率(減速比)を全て掛け合わせた値「最終減速比」を示しています。


難しいことを言いましたが、要するに「ギヤ比」は、この様な式で表せます。


この式の1次減速比とは、「スパーギヤの歯数」を「ピニオンギヤの歯数」で割った値のことです。2次、3次…減速比も、噛み合うギヤの歯数から算出することができますが、ラジコンの構造によって、どのギヤの比になるか変わってきます。


なので、とりあえず、1次減速比のみを置き換えます。


この式に、イグレスのギヤ比(8.25)と付属のピニオンギヤの歯数(22T)を入れると…


こうなります。


で、この分からない部分を調べる必要があるのでしょうか?いいえ、その必要はありません。


この部分は全て掛け算なので、仮にまとめて「G」と置きます。


すると、G=8.25×22=181.5になります。


つまり、式はこんな風に簡略化できます。これが、イグレスのギヤ比を求める式になります。


この式にブラシレスモーターの推奨ギヤ比「8.9~11.7」、今回は4WDの目安である「10」を入れてみましょう。


こうなりますね。ここまで来れば、もう答えは出ています。


ギヤ比が10となるピニオンギヤの歯数は、181.5÷10=18.15、ギヤに小数点以下はないので切り捨てて、18(T)となります。


つまり、ピニオンギヤを標準の22T→18Tへ小さくすれば、ブラシレスモーターの推奨ギヤ比の範囲に収まることができます。正確には16T~20Tのピニオンギヤが使用できます。


ただし、これはイグレス(2013)にタミヤのブラシレスモーター(10.5T)を付けた場合の値で、ラジコン本体やモーターのターン数が変われば全く違う値になるので注意してください。


以上、数学のお勉強は終わりです。組立に戻りましょう。


ということで、タミヤのオプション品のピニオンギヤ(18T、19T)セットを購入しました。


18T、19Tのどちらもモーターの推奨ギヤ比に収まりますが、付属のピニオンギヤが22Tと「偶数歯」なので、同じ偶数歯の18Tを使いましょう。


ちなみに、ギヤには「モジュール方式」と「ピッチ方式」の2種類があります。付属のギヤは「0.6モジュール」のギヤなので、必ず同じモジュールのギヤを選んでください。モジュールの値が異なると、歯がうまく噛み合いません。


18Tのピニオンギヤをモーターに取り付けます。


これを、最初に作ったギヤボックスに仮止めします。


モーターの位置は調節できるようになっているので、歯数が変わっても問題ありません。


とりあえずここまで。ギヤ比の話だけで一記事使ってしまいました。

- 組立編3へ -

[TOP]