ドールとカルピスウォーター (後編)


―カルピス株式会社は7日、「カルピスウォーター」発売25周年を記念して都内でイベントを行った。


―1919年に発売された「カルピス」は濃縮タイプであり、飲用時に希釈するという手間が掛かるにも関わらず、希釈して販売しなかった。その理由は、単に水で希釈しだけでは時間経過により粒子の凝集・沈澱などの劣化が生じ、鮮度を保つことができなかったからである。


―しかし、その後の技術の進歩によって、希釈した状態でも鮮度を保つことができるようになり、1991年、希釈の手間を省いた「カルピスウォーター」が誕生した。


―イベントには、第13代目CMキャラクターに選ばれた沙織(さしき)さおりが登場。以下、イベントの様子をご覧ください。


―まずは、沙織さん、新CMキャラクター就任おめでとうございます。

ありがとうございます。


でも、まだCM撮影はしていないんですよ。

―そうですか、では、本日のイベントで、カルピスについてよく知っていただいてから、CM撮影に挑んでください。

分かりました。


―ということで、本日の主役「カルピスウォーター」の登場です。


―こちら、「カルピスウォーター」500mlサイズと「カルピス(原液470ml)」をご用意いたしました。


―ちなみに、「カルピス」の主な原料は「牛乳」と「乳酸菌」ですが、この原液ボトル1本に乳酸菌がどれくらい入っているかご存知ですか?

うーん…


100万個くらいですか?

―いいえ、もっとです。


―およそ原液1mlに1億個の乳酸菌が入っています。なので、ボトル1本470mlでは470億個です。ちなみに、「カルピスウォーター」は原液を5倍に薄めたものなので、500mlでは1/5の100億個の乳酸菌が入っていることになります。

そんなに入っているのですか!まさに乳酸菌の宝庫ですね。


―…ですが、1つだけ言っておかなければならないことがあります。

何ですか?

―実は…「カルピス」の乳酸菌は…


―すべて死んでいます!

な、なんだってー!?


死んでるってどういうことですか?人類は滅亡してしまうのですか!

―落ち着いて、原液ボトルの裏のラベルをご覧ください。


ラベル…?

―乳酸菌飲料『殺菌』と書いてありませんか?


あっ!書いてあります!


―「カルピス」は、できたてのおいしさを保つために、最後に加熱処理し、密封しています。このときに乳酸菌自体は死んでしまうのです。

そんな…じゃあ、乳酸菌は何の意味もないのですか?


―いいえ、死んだ乳酸菌は他の善玉菌の養分となりますし、死ぬ前に乳酸菌がつくりだした乳酸の作用により、腸内環境を整えるという特性に変わりはありません。


―それに、たとえ生きた乳酸菌を摂取しても、腸に届くまでに99%は死んでしまいます。

そうなんですか…


なんか可哀想ですね…生きて腸にたどり着けないなんて…


―大丈夫です、沙織さん。たった一つだけ、すべての乳酸菌が生きて腸にたどり着く方法があります。

えっ!?どんな方法ですか?


―浣腸です!

ええーっ!?


―加熱処理する前の生きた乳酸菌を浣腸の容器に入れ、肛門から直接腸に流し込むのです。

念のため言っておきますが、これは「エアブロー」ですから。


―どうですか、沙織さん!浣腸してみますか?

しませんよ!


―そうですか…では、早速「カルピスウォーター」を飲んでいただきましょう!

この話の流れで飲めというのですか!


しょうがないですね…とりあえず、いただきます。

―ちょっと待ってください!


何ですか?飲めと言ったり、待てと言ったり。

―ペットボトルに口を付けて飲む気ですか?


あっ!そうですね、公の場では行儀が悪いですね。

―そうですよ!


―ちゃんと、こちらのグラスに注いでお飲みください。

失礼しました。


…って、これ「TENGA」じゃないですか!どうやって飲むのですか!


―先端のシールを剥がすと穴が空いているので、その穴から滴り落ちる「カルピス」を舌で受け止めてお飲みください。

いやですよ!


あのー、だんだんと「カルピス」の爽やかなイメージから、かけ離れた内容のイベントになってきているのですが、大丈夫ですか?

―大丈夫です!


―最後に沙織さんが「カルピス」を爽やかに飲んで、キャッチコピーを「ビシッ!」っと言っていただければ、すべて丸く収まります。

そうですか…。


では、ちゃんとしたグラスを用意してください。

―分かりました。


―どうぞ!

これですよ!「カルピス」といえばやっぱり、この「アサガオグラス」です。


「カルピスウォーター」を注いで…


いただきます!


ドピュ!ドピュ!ドピュ!…


ちょっと待ってください!効果音が違いますよ!「ゴクッ!ゴクッ!」でしょ!

―私に言われても…


―でも、まだ大丈夫です。キャッチコピーで挽回しましょう。ちなみに、キャッチコピーはご存知ですよね?

もちろんです!


キャップにも書いてありますし、絶対に間違えたり、ボケたりもしませんよ!

―分かりました。


―では、「せーの」の掛け声の後にお願いします。いきますよ、せーの…


カラダに「ピー」

―ありがとうございました。


早えーよ!「ス」まで言わせてくださいよ!まるで放送禁止用語をしゃべったみたいじゃないですか!

―申し訳ありません。


まったく…今回のイベントの内容が上の方に知られて、CMの話が無くなったらどうしてくれるんですか!

―大丈夫です、沙織さん!


―すでに、無くなりましたから。

なん…だと…


なーんてね。全部ウソです。ちなみに、25周年は来年です。
以上、カルピスウォーター編でした。

- おわり -

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